研究院設置の趣旨

社会科学高等研究院を中核とする世界最高水準の研究の推進

一橋大学長 蓼沼宏一

1 実学としての研究

一橋大学は特に、社会、経済、法制等における諸課題の解決・制度改革に資する研究や、企業経営の改善に役立つ研究など、実学――社会の改善に実際に貢献する学問――としての研究に強みを発揮するとともに、実学の基盤として、基礎・応用研究も同様に重視してきました。 現代の世界では国家間、組織間、あるいは個人間の競争が激化し、富の格差と貧困、経済の不安定性、環境破壊、国家間や企業間の紛争、人口の高齢化などの問題が深刻になっています。これらの問題を解決し、イノベーションを推進して世界及び日本の持続的成長を実現するためには、社会科学の英知が不可欠です。一橋大学は社会科学の研究総合大学として、世界の諸問題の解決と、社会、経済、法制等のシステムの改善に資する先端的研究を推進していきます。

2 社会科学高等研究院を中核とする研究の高度化・国際化

学長直轄の組織である「一橋大学社会科学高等研究院」を中核に、社会科学の各専門分野において国際共同研究を強く推進し、国際的な評価に値する研究成果を大幅に増加させます。そのためには、学外の研究資金の獲得に一層尽力するとともに、全学的に学内資源を世界水準の発展と創造的展開が望める分野、グローバル社会の要請に応えて貢献できる分野に重点的に配分する必要があります。また、特に若手研究者を中心に教員の英語による研究成果発信力を強化するため、国際学会での発表や、評価の高い国際学術雑誌への投稿に対しては、大学として積極的に支援する方針です。 社会科学高等研究院は、重点領域研究プロジェクト部門、国際共同研究プロジェクト部門、個人研究プロジェクト部門の3部門から構成されています。重点領域研究プロジェクト部門は、その時代の社会的重要課題に多様なアプローチから集中的に研究し、制度改革や政策提言に結びつけることを目指します。本学の経済研究所とも協働し、経済研究所がグローバルな共同研究拠点として長年にわたり蓄積してきた長期経済統計等の貴重な統計資料を活用して、本学の得意とする理論・実証分析に繋げます。 一方、国際共同研究プロジェクト部門は、各分野のフロンティアで活躍する海外からの招聘研究者と本学の教員とのコラボレーションによるプロジェクト研究を推進します。個人研究プロジェクト部門は、海外からの著名な招聘研究者及び本学の教員により、個人の自由な創意工夫に基づく基礎・応用研究を行います。 いずれの部門においても、研究課題の今日的重要性を考慮するとともに、国際的に高く評価される研究成果を数多く上げる可能性のある研究プロジェクトを優先します。また、本学の国際的な評価を高めるために、社会科学高等研究院を最大限機動的に運営します。学内の「旬の」研究者――研究活動が軌道に乗り、国際的な成果を次々に上げ始めた教員 ――に、サバティカル(研究専念)制度を優先的に適用して社会科学高等研究院兼担教員とするとともに、世界水準の研究者を招聘し、本学における共同研究と論文発表を促進します。さらに、国際公募により若手研究者及びポスト・ドクトラル・フェローを任期付きで積極的に採用するほか、各部局で採用したテニュアトラック教員も、テニュア審査前は社会科学高等研究院兼担とします。こうして論文生産力の高い若手研究者には、教育負担を軽減して充分な研究時間の確保を図り、本学全体の研究活動の活性化に繋げていきます。

3 次世代の研究者の養成

社会科学の研究総合大学として、次世代の研究者の養成も本学の重要な責務です。社会科学高等研究院と各部局を含む本学全体の研究の活性化は、研究者養成にも直結します。海外から招聘した第一線の研究者には、大学院生向けの特別講義・セミナーや論文指導を随時担当してもらい、国際的に活躍できる研究者の育成を図ります。それと同時に、大学院生による国際学会発表や査読付き国際学術雑誌への投稿等を、大学としても強く支援していきます。

(「一橋大学強化プラン(1):3つの重点事項」2015年3月 より抜粋)

PAGETOP